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レジュメ(02.7.1発表)→意見はこちら●
ABI総裁
本と子ども
1.はじめに
まずはじめに何故「本と子ども」なのか?それには「本と子ども」の本とは何か?から答えることが早いと思いますの
で、答えます。ここで言う本とは「マンガ」です。どうしてマンガかですが、現在子どもたちは多くのマンガに囲まれて生
活していて、その影響は甚大であると感じ、ではそれについて考えてみようというのが理由です。でも、本当は私が単
にマンガ好きだからと言うのもあります。私はこれを卒論のテーマとして設定しています。今回はもう少しテーマ設定に
ついて述べて、ちょっとしたまとめをできたらと思います。
2.マンガについて
さて、私がマンガと子どもについて考えようとしたのは『子どもたちはいま
産業革新下の子育て』を読んでです。この
本の第3章に「子どもの環境としてのマンガ」という論文があるのですが、これというのが私にとっては?と思う内容が
多いのです。まあ、これらの疑問に関しては昨年の合宿のときにも話したので重複する人もいるかと思いますが、もう
一度述べたいと思います。
例えば、p80の3行目に「マンガ雑誌をよく読んでいる子どもほど、加工食品などを摂取しているというデータがあり
ます。接する情報によって食文化も左右される事例です。」とあります。確かにこのような見方もあるかもしれません。し
かし、マンガが飛躍的に発展する時期と加工食品が売れ始める時期が実は一緒(60?70年代くらいだと思いますが)
だということもあると思います。つまりマンガを読む人が増えると同時に加工食品を食べる人も増えたという必然的なこ
とで、決してマンガのみに原因を押しつけることは出来ないのです。
p80の一番最後の行「学校で伝えられる多くの知識・技術などは、子ども達の興味関心をはんえいしていないた
め・・・」とあります。ここまでわかっているなら、子どもに興味のある内容にしたらいいと思います。また、あんまり言い
たくはないのですが、これは単に教師の力量不足なのでは?とも思います。
次にp81の最終段落でマンガは子どもの創造性を阻害する云々と書いてありますが、ではコミケは何なのでしょう
か?あれはマンガからインスピレーションを受けて、マンガを描くという、まさに創造行為ではないでしょうか?(やや、
飛躍的な考えですが)
p82の4行目から、マンガは芸術性がない云々と書いてあります。これはマンガを馬鹿にするにもほどがあるのでは
ないでしょうか?漫画家の中には素晴らしく芸術的な絵を描く人がいるのは顕かです。
同5行目からに「絵本は教育的」「マンガの使われ方は「気晴らし」です。」と書いてあります。現代においては子ども
もストレスを感じる世の中です。気晴らしは重要な行為です。さらにマンガは決して気晴らしだけに使われるのではない
こともはっきりしています。例えば、集英社などから出ている『日本の歴史』というマンガを使って日本の歴史を教える
教育的なものだってあります。もっと言ってしまえば、子どもの周りにあるものはすべて何らかのかたちで子どもの教育
に関係していると私は思っています。
と、以上のように私としては「子どもの環境としてのマンガ」に関してアンチな態度なのであります。そこで私は自分な
りにマンガと子どもについての論文を書こうと思ったわけです。
3.意見・アンケートから
さて、先程も述べましたが「子どもの環境としてのマンガ」については昨年の合宿で話して、その時に参加者から意見
を頂きました。そこから少し考えてみたいと思います。
意見
・教科書にもマンガは載っている。つまり考える一助となっている。
・現場のツールとして使いやすいがマンガは絵で絵は子どものイメージの貧困を招く。活字のほうが想像力を養う。
・今の子どもは体験が乏しいので、イメージ(疑似体験)の形成には役立つ。その分マンガの責任は大きい。
・マンガはイメージを共有できる。
・マンガでも受け取り方は人それぞれ。
・マンガが悪影響というが、それを緩和するのは親の役目。
・興味を持たせるものとして有用。
・マンガ、本でも得た知識をどう使うかの想像力は育つ。ただ本のほうが想像力を使 う。
・マンガ(日本の歴史など)を授業前に読ませるべきか、授業後かは考えなくてはい けない。
意見の一番上には「教科書にもマンガは載っている。つまり考える一助となっている。」とあります。私が調べた中で
は「国語」の教科書に取り入れられているケースが多いようです。やはり、マンガを言葉、表現という国語的に見るのが
多いようです。また、道徳の教科書にも使われているという話も聞きましたがこちらは調べきれてませんでした。しか
し、マンガが教科書に使われていると言うことはマンガは教育に使えると言うことを表しています。
さらに私は教育実習のときに生徒たちにマンガについて何でも良いから書いて下さい、とアンケートをお願いしました。
これらの意見・アンケートからマンガについて見てみたいと思います。
アンケート
アンケートに関しては少々量が多いのでまとめます。
・勉強になることが多々あるので(全てとは言わないが)読むべき。
・「マンガ」は生活の一部。ヒマがあれば読んでいます。(中略)マンガはいろいろな役に立つ知識をくれるものだと
思います。
・「マンガ」と言って特に強く印象に残っているのは「言葉」です。良い言葉とそれにつく絵によって普通の本と違い楽
しむことができると思います。マンガはリラックスできるものだと感じています。
・好きな時読めるし、おもしろいからいい。たまに、そうなりたいと思う話もある。
・いいものとわるいもがあると思います。学ぶものが多かったり、難しいことをわかりやすくしたりするものもありますか
ら。頭ごなしに否定する大人もいますがどうかと思います。
・今やらなきゃいけない事がたくさんあってイライラしたりしている時、マンガを読むと少しの間だけだけれど現実を
忘れていられるので読み終えた後またがんばろうと思えたりします。
・漫画は日本のつちかった文化であり(中略)日本の漫画は世界最高峰である。
・マンガといえば、気分転換として読む分には、とてもよい効果をおよぼしてくれます。が、それにはまり込んでしまう
と、逆の効果になってしまうという、少々やっかいな本みたいな感じ。
・(前略)日本はマンガ・アニメ・小説は世界級なのだからもっと国民が認めればいいのになぁと思います。
・(前略)考えながら読んでいると平面的なものが立体的に想像させられる力がついていいと思います。
・マンガを読むってのは想像力が失われていくと思う。
・漫画は一種のごらくだと思います。
・マンガはあまり読まないんですが、買うのはもったいないと思う。だったら本のほうがいいです。
と、まあこのくらいにしておきます。
アンケートの中に「リラックスできる」とか「気分転換」と言う言葉が出てきました。
現代の子どもは疲れていてどこかで癒しを求めていると言うことでしょうか。そうだとすると、マンガは「気晴らし」以上の
ものと言えるでしょう。
さらにマンガから「知識」が得られると書いている人もいましたから、はマンガが今の子どもにとって有用であると言うこ
とであると思います。
また、想像力に関しては想像力がつくという人と失われるの賛否両論のようです。
4.まとめ
なんだか、書いていて何か論点が良くわからなくなりましたが、まとめとして、今回言いたかったのはマンガは「子ども
の環境としてのマンガ」に書かれているようなものではないと言うことです。また、子どもはマンガを求めていると言うこ
とです。これだけのことを言うのにずいぶんと手間がかかりましたが。
そして、最後に今後の課題なのですが、もっとマンガに対する資料(マンガに対して批判的なもの、教育学的視点か
ら見たもの、など)を集めて、論をしっかり構成していかなくてはならないと思います。今回は結構強引だったと反省して
います。
5.参考資料
・『子どもたちはいま 産業革新下の子育て』 朝倉征夫編著 学文社 2001
・『新編新しい国語2』 東京書籍 1998
・『現代の国語』 三省堂 1997
・『新現代文』 教育出版株式会社 2001
・『高校生の現代文』 角川書店 2001
・『夏目房之介の漫画学』 夏目房之介 1993
・『マンガの社会学』 宮原浩二郎・荻野昌弘編 2001
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